朝の心
“本当に大切なもの”
- 2005.04.26
- 朝の心
来週、星の王子様の演劇鑑賞があります。星の王子様と言えば、人によって好きな場面もさまざまだと思いますが、私は『大人たちは日常の慌ただしさに追われて、本当に大切なものを見失っている』という内容のメッセージが大好きで、しばしば自分を反省する材料にしています。3年前には、私はこのメッセージを込めて星の王子様のイラストを入れた年賀状を書いたこともあるのですが、このとき私はこんな体験をしました。この年、年末の忙しい時間をぬってその年賀状を印刷していた時のこと、先輩からある神父様のお見舞いに行かないかと誘われました。その神父様は、回復の見込みのない難病を患ってもう何年も病院で闘病生活を続けており、医者にはいつ天に召されてもおかしくないと言われていました。私はお見舞いにも行きたかったのですが、その日を逃すと年内に年賀状が出せない状況だったので、お見舞いは新年にあらためて行くことにし、その日は年賀状の印刷を続けました。それから数日後、神父様は亡くなりました。『なぜあの時にお見舞いに行かなかったのか』『あれが最後になると分かっていたら・・・』そんなことを思っても、もう後の祭りでした。年賀状という雑事に追われ、『一人の病人を見舞うやさしさ』という本当に大切なものを見失っていた自分がとても情けなく思えました。さてその翌日、数人の友人たちと神父様の病室の片付けに行きました。そして、遺体の運び出されたベッドの上に、私は一枚の絵を見つけました。それはなんと星の王子様の絵でした。私は今でも、それが偶然とは思えず、神父様から私への最期のメッセージである気がしています。現代の日本に生きる私たちの生活は、毎日とても忙しいものです。しかし、「どんなに日常が忙しくても、『今ここで本当に大切なものは何なのか』それを見極める目を養わなければいけない。」今も神父様にそう呼びかけられている気がします。