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MORNING TALK

朝の心

“10分読書”

2005.04.26
朝の心

 私は大学時代、慶応大学のS教授に、2年間『中世哲学史』を習いました。哲学の歴史ですから、ただでさえ内容が難しくきつい授業だったのですが、その内容の難しさ以上に私たちを苦しめていたのは、毎回の授業で取るノートの量でした。90分の授業が終わると、だいたいB5のノートが4ページから5ページ分埋まるというすごいペースで、授業中はひたすら黒板を写し続けなければいけませんでした。しかし、ちょうど今ぐらいの時期から、私たちにも少しずつ知恵がついてきて、なんとか授業を中断させようとある作戦を開始しました。それが授業中の質問作戦でした。黒板の文字についての質問から、「アウグスティヌスの○○とトマス・アクイナスの××はどう違うんでしょうか?」というような難しい質問まで、いろんなことを質問しました。それでもネタのないときには、「先生、ちなみに趣味は?」というような苦し紛れの質問まで、様々な質問作戦を展開しました。そんなある日のこと、どんな質問に対する答えだったかは忘れてしまいましたが、先生が突然こんな話をしてくれました。「私はこの年になっても誇りを持って自分の人生を語るということはなかなかできませんが、1つだけ誇りを持っていることがあります。それは、学生のころから1日も欠かさずに10分間の読書を続けていることです。1日たったの10分でも、一生続ければすごい時間になります。私もかなりの数の哲学書を読破しましたし、それを通していろんな人たちの思想に触れることができ、自分の物の見方や人生そのものも豊かになったのではないかと思っています。」ということでした。さて、今みなさんは早朝課外の10分間を使って読書をしていますが、この時間を是非大切にしてください。そして、できれば自宅でも10分間を確保して、これから先ずっと読書を続けていってほしいと思います。それはきっと皆さんにいろいろな知識を与えてくれるだけではなく、みなさんの人生を豊かにしてくれると思います。

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