MORNING TALK
朝の心
“カウンセリング・マインド”
- 2005.04.26
- 朝の心
アイヌのことわざに「口は一つ、耳は二つ」という言葉があるそうです。これは単に当たり前の事実を述べているのではなく、話すことよりも聞くことのほうが大切であるというメッセージを伝えるものだそうです。さて、みなさんは、人の悩みや相談を受けるときに聞き手側に必要なものとして「カウンセリング・マインド」という言葉を聞いたことはないでしょうか。ちょっと難しい言葉ですが、これは簡単に言うと「共感する心」と言えると思います。つまり、人から相談を受けるようなときには「共感する心」が必要だということです。「共感」に似た言葉に「同情」という言葉がありますが、実際にはこれらはだいぶ違う言葉のようです。精神科医の町沢静夫さんは、両者の違いを次のように説明しています。同情とは、その人の立場にたってその人の気持ちを理解しようとするものの、すぐに自分の意見やアドバイスを言ってしまうレベルである。これに対して共感とは、その人の話をじっくり聞き、その痛みを共有し、そのために声も出なくなってしまうようなレベルである。さて、苦しんでいる人に対して、慰めたり励ましたりアドバイスをすることは比較的簡単です。しかし、本当に大切で相手に必要なことは、その人の話をじっくり聞き、その人が立ち直る力を回復するまで話を聞いてあげながら共に歩んで行くことではないでしょうか。人から相談を受けるとき、アイヌの言葉「口は一つ、耳は二つ」という言葉を時々思い出します。そして、この言葉に、人の話を共感的にじっくり聞くことの大切さを教えられている気がします。