MORNING TALK
朝の心
“アフガニスタン戦闘のかげで”
- 2005.04.26
- 朝の心
ニューヨークでのテロ勃発以来、あらゆるメディアは毎日のようにアフガニスタンで進行しているテロ撲滅をうたっての爆撃報道一色になっています。
最新兵器を駆使してのアメリカの攻撃のすさまじさは現実を通り越して、映画かゲームの世界を見ているようでさえあります。しかし、戦闘を逃れ、故郷を捨ててパキスタン国境に押し寄せる難民の群れを見せられると、「やはり現実なのだ」と目を被いたくなります。今から15年程前になります。
東京の養護施設で働いていた時に、アフガニスタン紛争から逃れてきた一人の少年を預かったことがあります。日本人の母親とアフガニスタンの父親を持つ少年でした。父親は大学の教授で、国にいる時にはとても幸せな生活をしていました。
父親は国を守るためにと、戦闘に借り出されていきました。
14歳になるその少年は二人の妹達と母親の祖国に逃れてきたのですが、決して納得して日本にきたのではなく、本当は父親と一緒に祖国のために戦いたかったのです。
だから母親や妹達と穏やかな生活をしていても決して満たされることはなく、国に帰る帰らないで、いつもけんかが絶えませんでした。
そのため、少年だけが施設に預けられることになったのです。施設に来てからも、日本の生活や文化には決して馴染もうとはせず、アフガニスタンに帰って父親と一緒に戦うことばかりを言っておりました。あの時の少年のギラギラした目と、遠く祖国を思いやるような悲しい表情を今も忘れることができません。
あの少年はあれからどうなったのだろうか?祖国には帰れたのだろうか?今回のこの戦いをどう思っているのだろうか?この戦闘で、またあのような少年が大勢うまれるのかと思うとやりきれない気持ちになります。
一日も早く解決するように祈りたいです。