朝の心
“戦争”
- 2005.04.26
- 朝の心
先日、高3の模擬試験の問題にスピルバーグ監督作の『プライベート・ライアン』の話題が出ていました。あの映画の冒頭の30分に及ぶ戦闘シーンは本当に凄まじい迫力で、見る者の心に戦争の恐ろしさを強烈に訴えてきます。ああやって多くの人の尊い命が一瞬にして無惨に奪われていく映像を見ると、戦争など二度と起こしてはいけないという気持ちになります。彼ら戦争の犠牲者は、祖国を遠く離れ家族のもとにも帰れぬまま一体何を思ってこの世を去っていったのかと考えると、本当に胸が痛みました。10年前の湾岸戦争のとき、テレビで繰り返し放送されたのは、離れた場所から目標をピンポイントで爆撃するハイテクミサイルの映像でした。従来の戦争というイメージを一新するクリーンな戦争がテレビでは展開されました。しかし、後に知ったのですが、あのような精密なミサイルは全体の7パーセントにすぎず、残りの93パーセントは命中率がわずか25パーセントの従来型の爆弾だったのだそうです。つまり全体では70パーセントちかくの爆弾が目標を外れたということになります。人々にクリーンな印象を与えた湾岸戦争のときにも、私たちが知らないところで、多くの人が尊い命を失い、生き残った人も家や家族を失い、心に深い傷を負って夢や希望を奪われていったのです。やはり戦争とはそういう恐ろしいものなのです。今、アメリカがいつどのように報復行動に出るのか世界中が注目しています。アメリカでは90パーセント以上の国民が報復行動を支持しているということです。しかし、いったん戦争に発展すれば多くの一般市民も巻き込まれて犠牲になることを忘れてはいけません。私たちの知られざるところで「高貴なワシ」と呼ぶにはあまりにも恐ろしい光景が展開されていくのだと思います。今回のテロ事件が大きな戦争に発展することなく、平和的に解決されていくことを願いたいと思います。