朝の心
“野口健さん”
- 2005.04.26
- 朝の心
毎週金曜日の朝に、寮生たちをラジオの音で起こしながら、先日エベレストでの清掃登山を終えたアルピニスト野口健さんの放送を聞いています。野口さんの活動は、エベレストの中でも標高6600メートルから8300メートルという死と隣り合わせの世界で、今までに捨てられたたくさんのゴミを拾うという命がけの作業です。そんな危険な場所がゴミだらけになっているからといって困る人がたくさんいるわけでもなければ、拾ったからといって本人が何か得をするわけでもありません。それでも野口さんは、体を張って自分が捨てたわけでもないゴミを拾い続けています。野口さんは、それを通して世界にゴミについて考えるきっかけを与えることができれば、そして将来的に地球全体がきれいになればと思うと、希望は膨らむばかりだと語っています。しかし残念なことに、世の中には野口さんのようにまわりの人や環境に配慮の心をもつ人ばかりではありません。野口さんが標高8000メートルで命がけで拾ったゴミを下まで運び下ろすチームが、下山途中にその一部をこっそり捨ててしまったらしいという悲しいうわさもあります。そんな話を耳にすると、なんてひどい人たちだと腹立たしく思います。しかし、私たちはそんな人たちのことを責める前に、自分自身のことも反省してみなければいけません。もし、私たちが普段の生活のなかでゴミをそこらに捨ててしまったり、分別もせずに捨ててしまったりしているのなら、私たちも彼らとなんら変わりはないからです。ゴミをゴミ箱にきちんと捨てること、分別して捨てること、これらは当たり前のことですが、結構面倒くさいものです。ましてや、自分が捨てたわけでもないゴミを拾うとなるとなおさらです。しかし、この面倒くさいという思いに打ち克つことがとても大切です。地球全体をきれいにするという野口さんの夢に比べれば、ものすごく小さな努力ですが、しかしこの小さな努力を通して、私たちは自分中心の世界から一歩踏み出し、野口さんのようにまわりの人や環境に配慮できる人になっていけるのだと思います。