朝の心
“勤労感謝の日”
- 2005.04.26
- 朝の心
日本で始まった日本独自の心理療法の1つに、「内観療法」というものがあります。この心理療法のやり方はきわめてシンプルです。お父さん、お母さん、を中心に、今までお世話になってきた人たちを思い浮かべて、その人たち1人1人について「お世話になったこと」「して返したこと」「迷惑をかけたこと」の3つの観点から過去を振り返ってみる、という作業をしていきます。赤ちゃんの頃、幼稚園の頃、小学校の頃、中学校の頃、自分はお父さんやお母さんにどんなお世話になったのか、そしてそれに対して自分はどれだけして返すことが出来たのか、またどんな迷惑をかけてきたのかというふうに、年齢を追って少しずつ丁寧に心の中を調べていきます。この作業を、1週間道場にこもって毎日8時間行う「集中内観」という内観療法を経験すると、多くの人が、自分がどれほどまわりの人に愛され、お世話になっているかを実感し感謝の気持ちでいっぱいになるそうです。
しかし、残念なことに私たちには、日頃からそのようなことをじっくり考える時間がありません。まわりの人からたくさんのお世話になっていても、それが当たり前だと思っています。また、お世話になっていることに気づかないため、感謝をしないだけでなく相手にもっと要求したり、不満を持ったり、反抗したりすることさえあります。みなさんも、毎日の食事を作ってもらうことだけでも大変なことなのに、感謝するどころか、おいしくないなどと不平を言ったりしていないでしょうか。さて、23日は勤労感謝の日です。この日は、勤労を貴び、生産を祝い、互いに感謝し合う日です。しかし、互いに感謝すると言っても、まわりからお世話になっていることに気づいていなければ、形だけのものになってしまいます。この機会に、普段当たり前だと思っていることをもう一度見直し、自分がたくさんの人のお世話になっていることに改めて気づき、その人たちに心からの感謝を表すことができれば素晴らしいと思います。