MORNING TALK
朝の心
本物の言葉
- 2005.06.22
- 朝の心
兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故は,最終的には犠牲者が100人を越えるだろうと言われる大惨事となりました。兵庫県といえば,1月に阪神・淡路大震災の10周年を迎え,多くの犠牲者のために祈りをささげたばかりです。兵庫の人たちの受けた衝撃は,はかり知れないものがあります。
ところで,阪神大震災や新潟中越地震,今回の脱線事故などで実際に被害にあったり家族や知人を亡くした人などに対して,わたしたちはどんな言葉をかけたらよいのでしょうか。みなさんだったら,どんな言葉をかけますか。「大変でしたね」でしょうか。あるいは「がんばってください」でしょうか。阪神・淡路大震災の時の被災者の声を集めた本の中に,次のようなものがありました。
『相手が「がんばる」って言ったら「がんばってください」と言えばいい。それ以外のときに「がんばってください」と言うのは余計なお世話だ。』 ちょっと冷たく聞こえる言葉ですが,それが現実なのでしょう。
では,「だったら,最初から何も関わらず,何も言葉をかけない方がましだ」と思う人もいるかもしれません。しかし,それは間違った考えです。苦しんでいる人のために何ができるだろうかと考えても,自分には何もできない場合もたくさんあります。それでも,何かしてあげたいという気持ちを持ち続けることは,きっと何らかの形でこの世界を動かしていくのだと思います。そして,そんな気持ちを大切にしていく中から,余計なお世話にならない,本物の言葉や行動が生まれてくるのではないでしょうか。