「ローマは１日にしてならず」。あまりにも有名な言葉です。
　１９世紀、スペインが生んだ偉大な音楽家にサラサーテというヴァイオリニストがいました。ツィゴイネルワイゼンで知っている人も多いと思います。そのサラサーテの奏でるヴァイオリンの調べは、実に不思議なほど魅力的で、いたるところで音楽の聖者、天才と賞賛を浴びたものでした。しかし、サラサーテは天才と呼ばれるたびに頭を振って言いました。「私は過去３７年間、雨の日も風の日も、１日に１４時間の練習を欠かしたことはありませんでした。それなのにいま、人々は私を天才と呼ぶのです。」
　サラサーテは確かに才能も豊かだったと思います。しかし、すばらしい才能がありながら、その才能におぼれて努力を惜しむ人は、せっかくの才能を無にしてしまうのです。いや、無にするだけでなく、まわりの人々の迷惑になることもあります。
　私たちも神様からさまざまな能力・才能を授かっているはずです。大切なことは、そのことに気づき、磨きをかけ、自分のため、また他の人の善のために大いに活用することではないでしょうか。