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MORNING TALK

朝の心

トリビアの泉的な話

2007.05.22
朝の心

大岡越前守が関わる「大岡裁き・子供の争い」という話があります。それは先妻が生んだ子供が利口なのを羨んだ後妻が、自分の子だと言い張って裁判となった話です。いろいろ調べた結果、どちらも主張を譲らないので、子供を両方から引っ張ることにしました。子供が痛がるのを見た先妻は手を離してしまいます。子供は後妻の手に入り、後妻は「私が正しい」と宣言するのですが、越前守は「お前は偽者だ。実の親であれば、子供が痛がっていれば手を離すものだ」と言って、先妻に子供を引き渡しました。
実は、この話の原典は、旧約聖書の第1列王記3章16節以下にある「ソロモン王の裁判」です。この「ソロモン王の裁判」の話が中国に入り、後漢の時代(紀元25年〜220年)の初めに書かれた『風俗』の中に現われ、それが宋の時代(紀元960年〜1279年)の名裁判物語である「折獄亀鑑(せつごくきかん)」や「棠陰比事(どういんひじ)」などに収められて、平安中期から鎌倉初期に日本に紹介されたものであったと、滝沢政治博士の『裁判史話』に掲載されています。聖書の話がこのような流れで、あたかも日本の話のように語られているのです。まさにトリビアの泉的な話です。

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