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MORNING TALK

朝の心

ものの見方、考え方

2007.06.20
朝の心

 あるとき、アルキメデスは、王様から「今度新しく作った金の王冠に銀を混ぜた、と訴える者がいる。それが本当かどうか、王冠をこわさずに調べてほしい」と頼まれて困ってしまいました。色々思案しても良い考えが浮かばないうちに、たまたま満水の風呂に体を入れて湯がこぼれるのを見て、それと同時に体が軽く感じられたことから、浮力とこぼれた湯の量とは関係があるかもしれないと思いつきます。
こうして彼は、浮力とこぼれる水の量との関係から、王冠に少しも傷をつけずに、王冠に銀が混ぜられていることを、王様の前で証明することができました。これは「アルキメデスの原理」発見の発端を物語る有名な話です。
 ある物事について考えるとき、特定の見方や考え方にとらわれてしまうと、正確な姿を捉えにくくなることがよくあるものです。
その点、アルキメデスの目が王冠に釘付けにならず、浮力とこぼれる水の量の関係によって、その正体を見破ったのは、彼に自由な発想と見方が備わっていたからだと言っていいでしょう。
しかし、もし、彼が「王冠を傷つけずに調べろと言うこと自体、土台無理な話なんだ。王冠の中身を調べるために、少しぐらい傷をつける自由を与えてください」などと言っていたら、原理の発見は不可能だったでしょう。
 これは自由を主張しているように見えますが、よく考えてみると、自由な思考を縛り付けているのは、実は自分自身に他ならず、「王冠を傷つけさえすれば中身は分かるのに」という考えにとらわれているに過ぎないのです。

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