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MORNING TALK

朝の心

クリスマスからのメッセージ

2007.12.11
朝の心

すべてに始まりがありました。
 聖書に書かれてある記述が、最初のクリスマスです。
 「あなた方のために星が生まれた」、これが今年の市民クリスマスのテーマです。星は天地創造の時に、神によって創られました。その中の特別な星を見ることができるのは、王様・預言者・祭司と呼ばれる人々でした。彼らは油注がれし者と呼ばれ、神様の代理としてこの世で仕事をする人たちです。彼らはこの世に平和をもたらすために働いていました。
星はいつも輝いていました。見るべき者たちだけがその星を見ることができたのです。

さて星から何を連想しますか。
私は2つのことを思い浮かべます。カトリック教会で「星」を言い表すのはイエスの母マリアです。今日12月8日はマリアの祭日です。神様の言葉を受け入れたマリアを讃えています。クリスマスの月のマリアの祝日は、イエスの誕生と救いの始まりをイメージさせます。また、「マリア」という名前は、イスラエルではありふれた名前です。マリアを祝う意味には、「誰でも神を信じ、神の言葉を受け入れ、生きる人は幸福になれる」、というメッセージが含まれているのかもしれません。
もう一つの星はクリスマスツリーのてっぺんにある星です。この星を『ベツレヘムの星』と呼んでいます。もみの木にクリスマス用の飾りをつけ終わると、その家の家長が最後にもみの木の一番上に「星」の飾り付けをします。そういう習慣がある飾り物です。すべての飾りの頂上に「星」を戴くのは、この「星」に、意味があるからです。
 今から約2000年前のある日のこと、ある特別な星を目指して旅に出た者がいました。その星が「幸福」への鍵になる星だったからです。旅は危険や不安が付きまといますが、必ず目的地に導いてくれることを信じて彼は旅を続けました。名も知らぬ大きな町にたどり着いた時、星を見失いました。この近くかも知れないと思って、町の人に問いかけます。「幸福はどこにありますか」と。しばらくは見向きもされなかったのですが、旅人が到着するたびに同じ質問が発せられるようになり、町の人は驚いて役人に届けました。
(旅人たちに見える星が町の人には見えなかったのです。信じて歩むものにしか「星」は見えないのです。)
役人は王様に。王は町の様子から学者たちを招集し、やっと探り出しました。
「ユダの地、ベツレヘムよ、
お前はユダの指導者の中で決して一番小さなものではない。
私の民イスラエルの牧者となるからである。」
 旅人たちに言い伝えを教え送り出しました。旅人たちはベツレヘムという小さな村に向けて旅を始めます。するとあの星が輝いているのが見えました。その星を目指して再び旅を続けます。そしてその星の光に包まれている場所にたどり着きました。目的地はみすぼらしい家畜小屋を兼ねた洞窟でした。家畜のえさ箱にわらを敷いて寝かされている幼子が見えます。ここが終着点なのかと考えました。少し失望しましたが、その時、心の中にほんわりと暖かいぬくもりが伝わってくるのに気がつきました。そして分かったのです。この場所が求めていた場所であることを。旅人たちは、自分たちの人生で一番大切にしているものを贈り物として幸せな新しい世界にささげました。
 ベツレヘムという小さな村での出来事をあらわす輝く星を「ベツレヘムの星」と呼び出したのは、こういう出来事があったからです。今もこの星の下にある「幸福」を目指して、いろいろな道からいろいろな人々がやってきます。信じている人、幸せになりたいと望む人には、その特別な星が見えます。新しい世界に向かって歩むことができます。みんなが見えるわけではありません。
先人たちは「幸福」という新しい世界に、自分の人生の中で最高のものをささげてきました。コルベ神父はその命を、マザーテレサは人生を、ある人は仕事を、時間を、食事を。さて、あなたがたは何を贈り物としてささげますか。これがクリスマスからのメッセージです。

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