MORNING TALK
朝の心
紙一重のために
- 2008.06.30
- 朝の心
北京オリンピック開会まで、あと50日ほどになりましたが、今から20年前のことです、1988年に開催されたソウルオリンピック100メートル背泳ぎで、鈴木大地選手が日本の水泳選手では16年ぶりに金メダルを獲得しました。
決勝レースでは鈴木選手が3レーン、金メダル候補アメリカのバーコフ選手が隣の4レーンを泳ぎました。ただし鈴木選手の決勝に至るまでの泳ぎでは、到底バーコフ選手には勝てそうもありませんでした。
そこで鈴木選手が採った作戦は、水中に潜るバサロ泳法のキックを23回から、予選でも練習でもやったことのない27回に、距離にして5メートル延長して勝負するというものでした。この作戦で、隣を泳ぐバーコフ選手があせりました。2人は入り乱れるようにゴールへ、まさにタッチの差で鈴木選手が金メダルを獲得します。
実は鈴木選手が採った作戦はバサロだけではありませんでした。このときのために手の指の爪を3〜4センチ伸ばしていたといいます。その長く伸びた爪の分早くゴール板にタッチし、まさにミリ単位の勝負に勝ったのです。まさに執念の勝利でした。
わたしたちは今のところ世界で戦うオリンピック選手ではありません。しかし鈴木大地選手のような執念をみせる、そんな機会はどこかにありそうな気がします。