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MORNING TALK

朝の心

「ありがとう」「ごめんね」

2008.10.22
朝の心

先日,ヴェネツィア国際映画祭で北野武監督の「アキレスと亀」がイタリアの批評家が優れた作品に与える白い杖賞を受賞しました。この映画祭では,1997年に同じ北野武監督の映画「HANA−BI」が日本映画として初めてグランプリの金獅子賞を受賞しています。
 さて,この「HANA−BI」という作品は,職務中に同僚を目の前で殺された刑事が,退職した後に不治の病の妻とともに最後の旅に出る話です。脚本も担当している北野武さんは,できるだけ無駄なシーンや説明的なせりふをそぎ落とし,最小限のせりふでストーリーを展開していきます。そんな映画の中で,不治の病の妻を演じた岸本加世子さんのせりふは,たった2つしかありませんでした。それは映画のラストシーンで,最後まで自分を愛し気遣ってくれた夫に向けて語られます。北野武監督が選びぬいたその2つの言葉は,「ありがとう」と「ごめんね」でした。たった2つのこのせりふは,多くの観客の胸に突き刺さり,深い感動を与えました。ではなぜ,この2つの言葉には力があったのでしょうか。おそらく,どちらも相手のことを深く思いやったときの,心からの気持ちを伝える言葉だからではないでしょうか。わたしたちは,普段の生活の中でこの「ありがとう」と「ごめんなさい」の2つの言葉を大切にしているでしょうか。相手のことを思いやり,心をこめて使っているでしょうか。そして,わたしたちの思いを相手にきちんと伝えることができているでしょうか。

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