MORNING TALK
朝の心
何事も実行してこそ、人生の扉は開く
- 2012.03.01
- 朝の心
聖書の言葉に「求めなさい、そうすれば与えられる。探しなさい、そうすれば見つかる。門をたたきなさい、そうすれば開かれる」という言葉があります。
点字図書館を創設した本間一夫は、この言葉のように人生を歩んだ一人です。
彼は北海道増毛町の酒屋に生まれました。家は近在きっての資産家でしたが、2歳の時に両親を失い、伯母に育てられました。伯母は気立てのよい人で、実の母親以上に愛を注いで育ててくれました。5歳の時、軽い脳症にかかり、医師の手当てで脳症は治った代わりに、両眼の視力は失われました。彼はこういう不幸な境遇にあっても、明るい性格のまま成長しました。15歳で函館盲学校に入学し、点字を習ったとき、自分の視力がよみがえったかのような光明を感じました。人差し指の皮が破れて血が出ても、なお読み続けるほどの熱意で、彼は新しく開かれた世界に飛び込んでいきました。しかし、点字本の種類は限られ、数も少なく、本を読み尽くしても新しい本を得ることが不可能でした。
その時、点字図書館があればなあと考えたのです。目が見える人には本屋もある、買おうと思えばいくらでも買える。目の見えない人にはそうはいかない。普通の人には図書館があって、目の見えない人には点字図書館がないのは不合理だと彼は考えました。
ただ、欲しいと思うだけでは何も生まれない。誰かが作らない限り、点字図書館はできはしない。そう考え、自分がその仕事に着手しようと決意したのです。
彼は今の学力では困難だと考え、関西学院大学に入学し研鑽を積み、大学を終えるころには、点字図書館設立に十分な図書を作ったり集めたりして、開設に踏み切ることができました。
何事も実行してこそ、その人生の扉は開くのです。