MORNING TALK
朝の心
「満開の桜や色づく山の紅葉をこの先いったい何度見ることになるだろう。」
- 2012.04.26
- 朝の心
これは,シンガー・ソングライターの竹内まりやさんの「人生の扉」という歌の一節です。もし,みなさんが80歳まで生きるとしたら,あと六十数回も満開の桜を見ることができます。あまりにも多すぎて,そして当たり前すぎて,来年も当然春が来て,満開の桜を眺めることができると,誰もが疑わずにそう思うことでしょう。
しかし,わたしたちは,昨年の大震災で当たり前が当たり前でないことを改めて教えられました。2万人近い震災の犠牲者のうち,次の春に自分が桜を見ることがないと思っていた人は,おそらくほとんどいなかったことでしょう。そして,地震や津波の経験はわたしたちに,毎日ご飯を食べることができ,家があり,愛する家族がいて,学校に行けば友達や先生と楽しく過ごすことができる・・・そんな日常の当たり前のことが,実はどれほど恵まれたことなのかを教えてくれたのです。
私たちは,震災で犠牲となった多くの方々が教えてくださったことを,決して無駄にしてはいけません。命には限りがあり,だからこそ,今この一瞬一瞬を大切に生きていかなければいけないのです。先ほどの竹内まりやさんの歌は,こう続きます。
「一つ一つ人生の扉を開けては 感じるその重さ
ひとりひとり 愛する人たちのために 生きてゆきたいよ」
さて,わたしたち一人一人も,日々当たり前という幸せに感謝しながら,いま自分にできることに一生懸命取り組み,そして周りの人を幸せにするために自分に何ができるのか,そのことに真剣に向き合っていきたいと思います。そうすれば,来年の春には,一回り成長した自分になって満開の桜を眺めることができるのではないでしょうか。