朝の心
出会いの季節
- 2012.04.27
- 朝の心
東日本大震災の被災地から流れて来たとみられるサッカーボールとバレーボールが、アラスカにあるミドルトン島に漂着しているのが見つかったそうです。発見者のデビット・バクスターさんは、ボールに書いてある日本語の文字をもとにその持ち主を探しあてました。
サッカーボールは、震災の大津波で甚大な被害にあった陸前高田市の高校2年生村上岬君のもので、7年前に小学校を転校した時、同級生や担任の先生から贈られた宝物でした。村上君の自宅は昨年の大津波で流され、自分の持ち物も一切見つからなかったといいます。そんな状況の中、思い出のボールが太平洋を挟んで5,000キロ以上離れたアラスカで見つかったことは、驚きとともに大きな喜びをもたらしました。
私たちの生活は、まったく関係のない人や場所に、何かしらつながっているということを改めて感じさせてくれる話だと思います。食べ物一つを例にとっても、私たちの知らない多くの人の手が関わっています。種をまくところからはじまり、育て、刈取り、加工し、商品となり、そしてそれを買って、料理してくださる人がいて、ようやく私たちの口に入るのです。環境問題も同じです。自然を無為に破壊することは、地球全体の異変を引き起こす原因ともなります。生きとし生けるもの、人間、動物、自然のすべてがつながり合い、関わり合っているからこそでしょう。
その中でも特に大切にしていきたいのは、人との出会いです。
「二つの人格の出会いは、二つの化学物質の接触のようなものだ。もしなんらかの反応が起きれば、両方が変質するのだ」
とは、心理学者ユングの言葉です。ある人との出会いで、自分の考え方が変わった、人生が変わった、というケースは稀ではありません。
春は出会いの季節です。友達との出会い、先生との出会いをはじめ、いろいろな出会い一つひとつを大切にしたいものです。