朝の心
知らないということ、わからないということ
- 2012.10.19
- 朝の心
「無知の知」という言葉を聞いたことがありますか。「自分はよく知っている、なんでもわかる」と思い込み、偉そうにしている人に対して、古代ギリシアの哲学者ソクラテスが皮肉を込めて言った言葉です。彼はこう言います。「私も何も知らないし、何もわからない。しかし、何でも知っていると思い込んでいる人より、自分は何も知らない、わからないということを知っている」と。 そして「無知の知」こそ、人間が学ぶ基本であると説きました。
本当に勉強している人、本当に練習している人というのは、必ず一つの壁にぶつかるものだと思います。特に試験前、試合前になると、「あぁ、自分は何もわかっていない、何もできていない。あれもしないといけない、これもまだやり残している」など、焦ったり、弱気になったりしてしまいがちです。真剣に勉強し、真剣に練習したからこそそういう気持ちになるのでしょう。しかし、そういう時こそ、さらに深く学び、理解し、大きく成長できるチャンスではないでしょうか。
「学べば学ぶほど、自分がどれだけ無知であるか思い知らされる。自分の無知に気づけば気づくほど、より一層学びたくなる。」
これは、20世紀最大の天才物理学者と言われているアイシュタインの言葉です。彼が偉大なのは、自分の無知を悟った時にこそ、意欲をもって取り組んだからだと思います。
秋は実りの季節です。実を実らせた枝は、その重さで頭を深く垂れるかのように下を向きます。私たちも、学ぶことを第一の本業としている学生として、「無知の知」である謙虚さと、またそこからくる意欲をもって、いろいろなものを豊かに実らせていきたいものです。
最後に松下幸之助の言葉を紹介します。
「一方はこれで“十分だ”と考えるが、もう一方は“まだ足りないかもしれない”と考える。そうした紙一枚の差が大きな成果の違いを生む」
写真は華道同好会 石神爽良さん(3−1)の作品