朝の心
初心忘るべからず
- 2013.01.18
- 朝の心
今年の元旦は、401の教室から何人かの高校3年生や先生たちと一緒に初日の出を見ました。残念ながら当日宮崎市の空は曇っていましたが、雲の隙間から真っ赤に輝く初日の光をしっかりと見ることができ、嬉しく思いました。
太陽は、東の空から毎朝昇ってきます。1月1日だけ特別に輝きながら昇ってくるわけでもないし、特別大きいわけでもありません。それでもやはり、元日の日の出が特別に感じられるのは、見るこちら側に特別な思いがあるからです。一年の最初の日であり、かつ年末年始 必死に受験勉強に勤しんでいる高校3年生と一緒に見るからこそ、いろいろな願いや気持ちがこもった、特別な初日の出になるのです。実際、翌1月2日の日の出は前日よりもきれいにはっきりと見ることができましたが、わずかにしか見られなかった1月1日の初日の出のほうが、ずっと大きな感動を覚えました。
さて、私たちの日常生活を見てみましょう。人々との何気ない出会い、かける言葉、かけられる言葉、体験する出来事など、そのほとんどが普段どおりに過ぎていく毎日です。しかし、捉え方や見方、受け取り方が変わることで、そこには喜びや感動、意味深さが生まれてきます。反対に、傷ついたりイライラしたり、落ち込んだりすることもあります。
どうせ同じ日常なら、身の回りの一つひとつに喜びを感じたり、感動したり、意味深いものと捉えることができるようになりたいものです。
室町時代の能作者・能役者である世阿弥という人は、「初心忘るべからず」という言葉を残しました。彼の言う「初心」とは、「最初の気持ち」ではなく、「初めての体験」のことを示しているそうです。「初めて体験したことを記憶にとどめて、忘れないことが芸の大成の基本だ」というのです。その意味では、「一生が初心、毎日が初心」ということになります(『心の杖より』)。
新しい年が始まりました。周りの友人とドキドキしながら初めて言葉を交わした日の喜び、一生懸命に努力して成績が上がった時の初めての達成感、必死になって練習を重ねた結果、勝つことのできた初めての感動などの「初心」にもう一度かえって、今年一年、「毎日初心」の気持ちで頑張っていきたいものです。
写真は校長室にある華道同好会作品:緒方華那さん:(2−C)、川野清楓さん(2−C)