朝の心
休みの日に
- 2013.05.02
- 朝の心
アーノルド・ローベルの書いた『ふたりはきょうも』という絵本の中に,こんな話があります。かえるくんとがまくんは大の仲良しなのですが,ある朝がまくんがかえるくんのうちへ遊びに行くと家の戸に張り紙がしてあります。「親愛なるがまくんへ。僕はいません。出かけています。独りきりになりたいのです。」がまくんは不思議に思います。かえるくんはきっととても悲しいんだとか,きっとぼくのことを嫌いになったんだとか,いろいろと心配します。心配になったがまくんは,かえるくんを元気づけようとサンドイッチとアイス・ティーを作ってかえるくんを探しに行きます。
かえるくんは,川の中の小さな島に独りでポツンと座っていました。不器用ながまくんが,やっとの思いで島ににたどり着いたとき,かえるくんはとてもうれしそうな表情をしていました。そしてこんな説明をしてくれます。「僕はとてもうれしいんだ。今朝目を覚ますとお日様が照っていて,とてもいい気持ちだった。自分が1匹のかえるだということが,いい気持ちだった。君という友達がいてね,それを思っていい気持ちだった。なんで何もかもがこんなに素晴らしいのか,そのことを独りで考えてみたかったんだ。」
さて,みなさんは,これから始まる連休後半をどのように過ごしますか?わたしたち日本人は,休みになると普段できないことをしようとあれこれ考えて行動し,せっかくの休みに逆に疲れてしまうことも多い気がします。また,普段の生活がとても忙しいので,かえるくんが発見したような身の回りにあふれている素晴らしい恵み,たとえば美しい朝日,家族,友達,食事,そして自分が自分として生きていること,そういった恵みを当たり前としか感じられなくなっています。休みの日には,普段できないことに挑戦するだけでなく,時にはこのかえるくんのように少しゆっくりと時間を過ごし,身の回りの当たり前のなかに確かな幸せを再発見することができれば素晴らしいと思います。