朝の心
四本のロウソク
- 2013.05.29
- 朝の心
今朝は「四本のロウソク」というお話を紹介します。
四本のロウソクがゆっくり燃えていました。灯の光を静かに揺らしながら、ロウソクたちの会話が聞こえます。
一本目のロウソクが言います。「わたしは《平和》です。でも、誰もわたしの消えそうな灯を守ってはくれない。もうこのまま消えてしまった方がいいでしょう」。《平和》の炎は少しずつ力をなくし、やがて消えてしまいました。
二本目のロウソクが言いました。「わたしは《信じる心》です。でも、誰にもわたしなど見えなくなってしまった。もうこれ以上、光を放ち続ける必要などないでしょう」。そう言い終わったとき、風が吹き《信じる心》の灯も消えてしまいました。
悲しみに包まれた三本目のロウソクが言いました。わたしは《愛》です。もうわたしには輝く力など残っていない。誰もがわたしのことを見放し、《愛》の大切さなどには見向きもしない。人々はごく身近な人たちさえ愛せなくなってしまった」。そう言ったまま、スッと消えてしまいました。
そこへ突然、一人の子どもが現れ、消えてしまった三本のロウソクを見つめました。子どもは、「どうしてみんな消えてしまったの?最後まで燃え続けるべきじゃないの?」と言うと、泣き出してしまいました。
すると、四本目のロウソクが語り始めました。「大丈夫だよ。わたしの光が残っている限り、消えたロウソクに輝きを取り戻せることができる。わたしは《希望》です」。
子どもの瞳は《希望》の光に輝きはじめました。そうして《希望》のロウソクを手に取り、消えてしまった《平和》と《信じる心》と《愛》のロウソクにふたたび灯をつけました。
みなさんの心の中に、そして、みなさんの周りに、《希望》の灯が輝き続けますように。
注) 日本にこのお話が広まったのは、フランス人のエッセイスト・フランソワーズモレシャンさんが、幼馴染のご友人から教わったお話を、何人かに次々と紹介されたことがきっかけだったようです。 (2009年1月読売新聞記事)
写真は華道同好会の下沖留美さん(2−B) ・ 中崎由唯さん(2−C)の作品