朝の心
DJポリス
- 2013.06.28
- 朝の心
サッカー日本代表がW(ワールド)杯(カップ)ブラジル大会の出場を決めた六月四日の夜、東京・渋谷駅前の人混みの中で、マイクを握る一人の警察官が皆から脚光を浴びていました。W杯出場決定のニュースに興奮した人々が冷静さを失いかけ、混乱が起こりそうなところを、その警察官は「皆さんは12番目の選手です。チームワークをお願いします」と言って抑えたそうです。彼のことを人々は、DJポリスと呼ぶようになりました。
DJポリスは群衆に「目の前にいるお巡りさんも、皆さんが憎くて怖い顔をしているわけではありません。心の中ではW杯出場を喜んでいるのです」と語り、さらに街の真ん中で胴上げを始めた集団には、「それはイエローカードです」と穏やかに諭しました。
その晩は、怪我人や逮捕者が一人も出なかったそうです。
公衆トイレやお店のトイレで、「いつもきれいにお使いいただきありがとうございます」という張り紙を見かけたことはありませんか。初めて使用する人に対しても、御礼の言葉が書かれてあります。これが、「トイレはきれいに使ってください」という命令口調だったらどうでしょうか。どちらも、トイレをきれいに使ってほしいというお願いの張り紙ですが、御礼の言葉の方がなんとなく良い気分になり、きれいに使おうという気持ちが自然とわいてくるような気がします。
人との付き合いにおいて、自分の意見をきちんと述べる、正しいことははっきり言うのは大切なことです。しかし表現の仕方や言い方によって、伝わり方も違ってきます。上から押しつけたり、自分の考えを一方的に主張したりしない伝え方は、DJポリスやトイレの張り紙が良いお手本です。まず共に気持ちを分かち合う共感からスタートしています。
こうした何気ない言葉の使い方や人との接し方は、より良い人間関係を築いていく上で必要なテクニックではないでしょうか。
写真は華道同好会金丸侑樹さん(2−4)、末次潤音さん(1−3)の作品