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MORNING TALK

朝の心

佐村河内さんとベートーヴェンに学ぶ

2013.10.24
朝の心

 先日,ある先生の計らいで「現代のベートーヴェン」とも言われている佐村河内守さんの交響曲を聴く機会がありました。ベートーヴェン同様,完全に聴力を失っている佐村河内さんが,常に頭の中に轟音が鳴り響いている中から自分の求める音を1つ1つ必死に拾い上げて作曲していったとされる交響曲には,本当に聴く人を圧倒する力を感じました。
 ところで,ベートーヴェンは20代後半から難聴がひどくなりますが,その事実が人に知られると音楽家としての生命にかかわるので,彼はそのころから極力人前に出ないようにして一人惨めな生活を送ります。しかし,その後も聴力はどんどん弱くなり,ついに完全に聴覚を失います。32歳の時には,深い孤独と絶望のうちに遺書を書きます。遺書ですから,当然死ぬつもりで書き始めたわけですが,人に知られてはいけないと思っていた耳の病気を告白し,ずっと悩んでいたことをすべて書いていくうちに,次第に心に変化があらわれます。この遺書は不思議なことに途中から希望のメッセージに変わっているのです。そして,ベートーヴェンの人生もここから快進撃を始めます。有名な交響曲第3番を作曲し,その後も10年間にわたって中期の代表作を次々と生み出していきます。
 さて,わたしたちの生活の中にも,苦しいこと,不安,悩み,そういったものはしばしば訪れます。そのようなとき,そこから逃げるのではなく,それを真正面から見つめ,それとともに生きていこうと受け止めたとき,生きる力や勇気が湧いてくるのかもしれません。「辛」に「一」を足すと「幸」になります。単なる言葉遊びですが,辛いところから勇気を出して一歩を踏み出せば,きっと幸せへの道が開けるのだと思います。

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