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MORNING TALK

朝の心

まずレンズのキャップを取ること

2014.01.17
朝の心

 小学生の頃、お金を拾うのが得意な友人がいました。一緒に歩いていると、やたらとお金を拾うのです。そのうち、道端で自動販売機を見つけると必ずその下をのぞいたり、おつりの出口に手を入れたりするようになりました。彼の関心は、とにかくお金を拾うことでした。見習いたくありませんが、その集中力と、一つのことに全力を注ぐ姿勢には感心してしまいました。

「心ここに在らざれば、視れども見えず、聴けども聞けず、食えどもその味を知らず」という孔子の言葉があります。普段の生活における心の置き場所、あり方についての教えです。今やるべきことに集中していないと、何も見えないし、聞こえないし、味わうことができないという意味です。

昭和を代表するカメラマンに、土門拳という人物がいました。あるインタビューで「写真撮影に一番大切なことは何ですか」という質問に、彼は「まずレンズのキャップを取ることです」と答えたそうです。最近では自動でレンズが出てくるカメラが多くなりましたが、少し古いカメラや上等なカメラには、レンズに必ずキャップがついています。「レンズのキャップを取る」というのは、シャッターを押すとかアングルを考える以前の基本的な動作です。私たちの日常生活においても、レンズのキャップを外し忘れたままシャッターを押そうとしていること、言い換えれば基本的なことをおろそかにして慌てているようなことはないでしょうか。何事においても一番大切なのは、基本的なことを怠らずに、平常心をもって取り組むことであると、この話は私たちに教えてくれます。

 新しい年が始まり、皆さんそれぞれに心を新たにスタートをきったことと思います。ここで、いま一度基本的なことを忘れていないか確認し、与えられた一つひとつのことに集中して取り組み、充実した一年にしていきましょう。
そして、最後に高校3年生の皆さんは明日からセンター試験ですね。今までの自分の努力を信じて集中し、慌てることなく平常心で、普段通りに落ち着いて臨んでください。心から応援しています。

写真
写真は華道同好会 岡田美沙希さん(2−D)の作品

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