MENU

閉じる

閉じる

MORNING TALK

朝の心

偏見

2014.02.21
朝の心

19世紀の細菌学者パスツールは、あるとき南フランスで広まったカイコの伝染病の研究を政府から頼まれました。しかし カイコというものを見たことがなかった彼は困り、辞退を申し出ます。そこへ彼の先生が「それはなおさら結構。君は、君自身の観察結果からくるもの以外には何も持たないというわけだね」と言って、引き受けさせました。こうしてパスツールは研究に取りかかり、伝染病の予防法を確立していくのです。
これは、さまざまな組織や細胞になることができるSTAP(スタップ)という万能細胞を開発した小保方(おぼかた)晴子さんが話題になっていた 一月末(すえ)に、朝日新聞に載っていたエピソードです。小保方さんは、今までの先入観や常識に縛られない単純な方法で万能細胞を作り、専門家を仰天させたと言われています。

私たちは時々、先入観や偏見が邪魔をして、本来見えるべきものを見過ごしたり、やれることをはじめから諦めたりすることがあるような気がします。偏見という言葉は英語で“prejudice”と言って、「前」を意味する”pre”と、「判断する」を意味する“judge”から成り立っています。つまり「偏見prejudice」は、「前もって判断すること、決めつけること」と直訳することができます。
 
さて もうすぐ修学旅行です。高校2年生は来週 北海道に、中学2年生は再来週 関西地方に行きます。旅行中にスキーを習得する高2の皆さんの中には、初めてスキーを体験する人も多いことでしょう。また古(いにしえ)の都 奈良・京都に行く中2の皆さんは、教科書やテレビなどでしか見たことがない国宝級の建造物や仏像を、たくさん目にするはずです。どちらの体験も、まずは自分の目で見て、耳で聞いて、偏見に囚われない新鮮な心でチャレンジしてみてください。事前の知識や先入観に左右されない姿勢で臨むことによって、きっといくつもの新しい発見や感動が訪れるに違いありません。
普段の生活でもその姿勢は大切です。一日一日を、昨日からの続きとして惰性的に迎えるのではなく、毎朝、まったく新しい一日が始まるという心掛けを持っていると、新たな発見や感動が増えるのではないでしょうか。

写真

閉じる