朝の心
まず好きになること
- 2014.03.07
- 朝の心
花に向かって毎日やさしく声をかけると花は美しく咲き、他方、何も声をかけられなかった花は、可哀想なほど元気がないと言われます。不思議な話です。科学的に証明されているのかどうかわかりませんが、日本では昔から、見えないエネルギーや心地よい言葉を感じ取る何かが、自然にはあると考えられてきました。神の化身や力が宿っているとされる「樹(じゅ)霊(れい)」や樹木に宿る霊などを意味する「木霊(こだま)」という言葉が、それを示しています。
物理学者の寺田寅彦という人は、「科学者になるには自然を恋人としなければならない。自然はやはりその恋人にのみ真の心を打ち明けるものである」(天声人語1月31日)と言いました。科学者が新しい発見や法則を見出すためには、自分の気持ちを100%自然に入れ込むことが必要だという意味でしょう。
科学の世界に限らずスポーツや芸術においても、それなりの賞やタイトルを獲得した人の多くが、自分が取り組んでいる実験あるいは競技や技のことを、四六時中考えているといいます。まるで恋人に対して一途に心を寄せているかのごとく、自分の全てを捧げているのです。誰かを好きになるとその人のことばかり思い考えるように、自分が打ち込んでいる一つの事をひたすらに追求し、とことん惚れ込み、没頭して臨むからこそ、結果がもたらされるにちがいありません。
今私たちは、自分が極めたいことや上達したいこと、力を伸ばしたいことに対してどれだけ興味を持ち、好きになっているでしょうか。それは勉強かスポーツか音楽か、あるいは特定の相手なのか、人それぞれでしょうが、自分でどこか限界を作り、あきらめていることがあるかもしれません。本気で成し遂げたい、獲得したい、達成したいと願うなら、まずは深く興味を持ち、自分自身の心・気持ち・思い・考えのすべてを全力で注ぎ、誠心誠意打ち込む姿勢からスタートすることが必要ではないでしょうか。
写真は華道同好会
山田佳乃子さん(2−4)、金丸侑樹さん(2−4)の作品