朝の心
一生懸命
- 2014.06.09
- 朝の心
手塚治虫は、漫画家として完璧主義を貫いたそうです。エピソードを一つ紹介します。
有名な作品『ブラック・ジャック』の連載をしていた時のことです。提出した原稿を戻してほしいと、手塚氏から編集者に連絡がありました。当然、編集者は困り果てます。彼の原稿はいつも出来上がるのが一番遅く、ぎりぎりで印刷所にまわしていたからです。しかし描き直すと言って譲らないので、編集者は印刷所へ飛び込み、怒り狂う現場の人達に頭を下げて印刷機を止めてもらい、大急ぎで手塚氏のところに原稿を持っていきました。そうまでして原稿を戻させ、彼が描き直したのは、葉っぱ2,3枚を付け加えただけのものでした。唖然とする編集者に手塚治虫はこう言ったそうです。「創作に携わる者が、完璧を目指さなくてどうするんですか」と。
(『大切なことに気づかせてくれる33の物語と90の名言』参照)
完璧主義は、良く思われないことがたびたびあります。しかしながら手塚治虫のような例は特別だとしても、何事も一生懸命に取り組み、最後まで諦めずに努力するという心構えはとても大切です。
先週末の高校総体では、男子バレー部の優勝、レスリング部の森崎克也君の3連覇、寺原裕介君の2連覇など、すばらしい成績がうまれています。私もいろいろな競技の応援に行く中で、結果は負けでも感動的な試合がいくつかありました。そこには、最後まで諦めずに努力していた姿勢があったからです。負けていても1点を取り返そうとする姿や、残り1分でも全力で向かっていく勢いに心が打たれたからです。
赤毛のアンの作者モンゴメリに、次のような言葉があります。
「一生懸命にやって勝つことの次にいい事は、一生懸命やって負けること」(同上参照)
一生懸命にやったからといって、必ず成功し、勝つとは限りません。しかし、成功する人や、勝利する選手・チームは必ず努力しています。勝っても負けても、成功しても失敗しても、満足いく毎日を過ごしたいものです。
中学生は今週末から中体連が始まります。悔いのない戦いを期待しています。
写真は華道同好会
中崎由唯さん(3−E)の作品