朝の心
Being
- 2014.09.29
- 朝の心
「図書館だより」で山崎先生が紹介されていた『学園ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶応大学に現役合格した話』という本を、最近読みました。いろいろなことが興味深く書かれていましたが、学園ビリのギャルが成功した秘訣には、この本の著者である坪田信貴さんが述べられておられる次のことが根本的にあったのではないかと、私は思います。
人の評価の基準は、大きく分けて3つあるというのです。一つ目は「いつも言うことを聞いてくれて、先生は嬉しい。君はいい生徒だ!」と、相手の行為で評価するDoing。二つ目は、「成績が20番も上がったね、偉いね」とか「いい車を持っていてかっこいいね」と、その人が持っている能力や物で評価するHaving。ところがDoingにしろHavingにしろ、裏を返せば「先生の言うことを聞かない生徒は嫌い」、「成績が悪いと駄目」、「いい車を持っていないとかっこ悪い」というメッセージにもなります。そこで、三つ目の人間評価です。「あなたが生まれて来てくれて、生きているだけで嬉しいよ」という、その人の存在そのものを評価するBeingがあるというのです(307〜310頁参照)。
彼女のお母さんは、徹底的にBeingとして娘に関わりました。どんなに成績が悪かろうとも、学校から呼び出しがかかるようなことをしようとも、娘にBeingの評価で関わり続けたのです。彼女がいろいろな理由から大学を目指し、頑張ることができるようになったのは、お母さんの絶対的な信頼と無条件の愛があったからに違いありません。
私たちは人と関わる時、果たしてどのように相手を見ているのでしょうか。知らず知らずのうちに、DoingやHavingで相手を評価し、関わっていることがあるかもしれません。大人気の映画「アナと雪の女王」で歌われていた”Let it go!”「ありのまま」というメッセージが流行ったのは、世の中、いかにDoingやHavingで人と関わることが多く、Beingとして評価、つまり「ありのまま」で関わってくれる人、機会が少ないということを裏付けているからではないでしょうか。
社会で生きていく上で、Beingの評価だけで人と関わっていくことはなかなか難しいかもしれません。しかし、せめて自分の周りの家族や友だちなど、大切な人々に対してだけでもBeingとして評価し、関わっていくよう心がけていたいものです。
写真は華道同好会
岡田美沙希さん(3−E)、中崎由唯さん(3−E)の作品