朝の心
ポインセチア
- 2014.12.17
- 朝の心
ポインセチアという花を知っていますか。厳密には「花」ではなく、花と見間違うほど大きく発達した苞(ほう)葉(よう)という葉っぱが真っ赤に彩る植物です。クリスマスを飾る一つとして、クリスマス・フラワーとも呼ばれています。
このポインセチアには、メキシコに伝わる有名なお話があります。
アレタという貧しい女の子がいました。彼女が住む地方では、クリスマスに、イエス誕生の場所を再現した馬小屋の周りに、人々が競ってきれいな花を捧げる習慣がありました。しかしアレタには、生まれてくる幼子イエスに何も捧げるものがなく、泣き悲しんでいました。その時、彼女のそばに一人の人が来て、「アレタ、泣くのはおよし。原っぱに行って、腕一杯の野草を摘んできて、それをお捧げすればいいよ」と言いました。彼女は涙に濡れた顔を上げ、「綺麗な花ばかり飾られているところに、雑草を置くなんてできません」と答えると、その人は静かに首を振って「私の言う通りにしてごらん。幼子イエスは、君がどんなにイエスを愛しているかわかってくださるから」と言いました。アレタはその言葉を聞き、気持ちを持ち直して言う通りにしました。そして、腕一杯に野草の束を抱え、花々で飾られた馬小屋の端の方に置き、目を閉じてひざまづいて幼子イエスに礼拝しました。その時です。周りの人々から感嘆の声が起こりました。アレタが目を開くと、置いたばかりの野草の束が美しい赤色の花に変わっており、どんな花よりも美しく輝いていました。この時アレタが置いたものがポインセチアであり、クリスマス・フラワーになったというお話です。
クリスマスには、こういった心温まる話がたくさんあります。それは、クリスマスの祝いというのは、ちょっとした気遣い、親切、微笑など小さな気持ち、苦労、犠牲などが大切だということを思い出す日だからでしょう。そうした小さなことに心を込めて、愛を込めて神に捧げる時、神の前ではポインセチアのように美しく咲きほこるに違いありません。先日の上村先生の「朝の心」の話であったように、私たちもクリスマスに向けて美しい花を咲かせ、良い心の準備をしましょう。
写真は華道同好会
の作品