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MORNING TALK

朝の心

物を大切にできない人は、人をも大切にできない

2015.06.29
朝の心

アメリカの『タイム』という雑誌で、今年「世界で最も影響力のある100人」の一人に選ばれたのは、コンマリこと近藤真理子さんです。彼女の『人生がときめく片づけの魔法』という本は海外で15ヶ国に訳され、発行数300万部に達しています(『AERA15年5月4日号』参照)。皆さんの中でも読んだ人がいることでしょう。今では近藤さんの名字である「kondo」は「片づけ」を意味する動詞としても使われており、例えば「私は自分の部屋を掃除した」と英語で言う時、“I kondoed my room.”と表現するといった具合です。
コンマリさんの片づけ法にはいろいろ共感できるところがあります。中でも最も感心したのは、物に対して感謝の気持ちを持つことです。コンマリさんは、持っていてときめかない物は思い切って捨てるようにと勧めますが、捨てる時には心を込めて「ありがとう」という気持ちをもって捨てるのだと言います。また、たとえば靴下を収納する時も、いつも使い回され、足と靴の蒸れと摩擦に耐え、それでも持ち主をかいがいしく包み続ける靴下たちに束の間の休息の時間を与えるのだという気持ちで仕舞ってほしいと言います。
ただ単に物を捨てる、あるいは仕舞うということではなく、大切な物だからこそ「ありがとう」の気持ちを常に持って、ある物は捨て、ある物は収納するということです。

 私は、「物」を大切にできない人は「人」をも大切にできないと思っています。なぜなら物が作られる背景には、必ず人の手が関わっているからです。今私たちが使っている「物」は、職人さんが丹精を込めて作りあげ、工場の工員さんたちが汗水流して制作した物です。逆に言えば、物を粗末にすることは、物を作った人々の思いや苦労を粗末に扱うことになると思うのです。
 
 先日、中学校では感謝の集いがありました。皆が祈り、歌い、あるいは作文や詩で家族への感謝の気持ちを表現しました。学院らしく素晴らしい行事だったと思います。そこへ、もう一つプラスして持ってほしいのは、物への感謝の気持ちです。鉛筆一本、消しゴム一個を、最後まで無駄なく大切に使う姿勢です。これが物への一番の感謝だと思います。果たして皆さんは自分の物だけではなく、学校の物、公共の物を、どれだけ大切に使っているでしょうか。

写真
写真は華道同好会
井料田朱那さん(3−1)の作品

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