朝の心
日本のラグビーから学ぶこと
- 2015.10.26
- 朝の心
今、英国で開催されているラグビーワールドカップでの日本チームの活躍は、日本中にラグビー・ブームを巻き起こしています。初戦で世界ランキング3位、過去2度のW杯優勝を誇る南アフリカに、後半ロスタイムのトライで逆転勝利して大金星を挙げて以来、日本だけでなく、世界中のラグビー関係者が日本チームに注目し始めました。
2012年、日本代表ヘッドコーチに就任したエディ・ジョーンズ氏がまず取り組んだのは、選手の意識改革でした。「W杯でベスト8に残って決勝トーナメントに進み、日本ラグビーの歴史を変えること」を明確な目標に定めることからスタートしたのです。
次に行なったのは、どこにも負けない厳しい練習でした。ジョーンズコーチは、「練習ではNever be happy(ハッピーにさせない)」が口癖で、自信を持って「世界一のハードワーク(猛練習)」を課してきたと言います。低い姿勢と忍耐強さが日本人の長所だと捉えたうえで、粘り強く攻め続け、低い束になって相手にタックルし、倒れてもすかさず起き上がり、またタックルしてサポートに走るというタフさこそが、体格やパワーでは外国に劣る日本に必要だと考えたからです。運動量と持久力で勝負したのです。
同時に、日本人の欠点も見えてきました。「言われたことをやる姿勢は素晴らしい。だだ、試合では何が起こるかわからない。その都度自分で考えることが大切だ」と、最後の課題として自主性を掲げました。ラグビーは試合が始まると、指導者はベンチに入れません。自分たちだけで判断しなければならず、指示通りに動く従順さだけでは勝負できないスポーツです。そこでコーチは、練習の一部を選手らに一任するようにしました。また日頃から選手間で問題意識を共有するため、主将や副主将がミーティングを頻繁に行いました。そうするうちに選手たちは「これは自分たちのチーム。自分たちの意識次第で変われる」と実感するようになります。結果、この自主性が生かされ、南アフリカの試合では最後の逆転トライを決めることができたのです。
日本チームがラグビー界の新たな歴史を築くことになった背景には三つの鍵がありました。第一に明確な目標の設定、第二に自分たちの長所を生かすこと、そして第三に自分の弱点を受け入れ克服していくこと、この三つの取り組みが、チームを成功へと導いたのです。私たちの生活においても、この三つは、とても大切な鍵となるにちがいありません。
写真は華道同好会
金丸侑樹さん(1−B)の作品