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MORNING TALK

朝の心

隠れた働きに気づく

2016.02.10
朝の心

今日は、私が昔聞いてとても印象深く覚えている民話をお話しましょう。
昔々ある川べりに一人の目の見えない男が、村人の助けを借りながら住んでいました。その村は川がよく氾濫して、たいそう困っておりました。そこで、村人はその目の見えない男を川番にして太鼓を持たせてこういい含めました。
「いいか。川の水が、増えてきたら・・太鼓をたたいて村に知らせるんじゃよ、眼が見えなくても、足に水が流れてきたら、まず、叩くんだ。まずは、一番太鼓じゃ!膝まで、水がきたら・・二番太鼓。そうしたら、助けに、迎えに来てやるからな。」
この川番のおかげで、川が溢れる前に農作物を守ることができるようになりました。
ある年、大嵐がその村を襲いました。川の水もあっという間に増え、今にも溢れてきそうです。すると川番の太鼓がなり始めました。
「それ、一番太鼓じゃ!逃げる支度をせい!」
やがて太鼓が激しく打ち鳴らされました。
「そら、二番太鼓じゃ!山へ逃げろー!」
村人は大慌てで山へ逃げます。山の神社で身を寄せあって、嵐のすぎるのを待っている時でした。「誰か、川番を迎えにいったか?」と叫ぶ声がしました。
「・・・。」村人たちは、ただ、顔を見合わせるばかりでした。
嵐のあと、川へ様子を見に行くと、川番の姿はどこにも見当たりません。「許してくれろー。許してくれろー!」村人たちの声が虚しく響くのでした。
私たちが今の平和で安全な生活を送っている影には、私たちから危険をなるべく遠ざけるように、最も危険なところで命がけで働いてくださっている人がいるはずです。建設現場や間違えば死に至るような高電圧を扱う工場などで働く人々、人知れず心を砕いてくれる家族もそうかもしれませんし、何よりも神様自身がそうなのです。その存在のありがたさに気づき、都合のいい時だけ気にするのではなく、隠れたところでの働きに感謝できる人間になっていきたいと思います。

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