朝の心
人間というものを知る
- 2016.03.11
- 朝の心
皆さん、おはようございます。いよいよ今年度も終わりに近づきましたね。
皆さんのこの一年はどのようなものだったでしょうか。4月のときと比べてどれだけ成長してきたでしょうか。
作家の曽野綾子さんは、その著書の中で人間にとって成熟とはどんなことなのかを、いくつかの例を挙げて教えてくれています。今日は、その一つを皆さんと分かち合いたいと思います。
曽野さんいわく、このごろ、弱く卑怯な日本人が増えたと感じるそうです。ある一流銀行に就職したエリートの若者がいました。彼は銀行に入った当初から「この職場そのものが僕を裏切ったんだ」と文句を言っていたそうです。自分から希望して、入社試験まで受けたはずなのに、不思議な話です。
曽野さんは続けます。この人は、世間全体がさまざまな偏った性格を持つ人間で動かされているという単純なことも分からないで、一流大学を出て一流銀行に就職した。つまり、学問はできても人間を理解していない人が職場に入ると、気の毒にもその人は少しも満足せず、周囲がことごとく不満の種で、自分は実力を評価されない不幸な人生を歩み始めてしまったと思い込んでしまうそうです。そして、こういう人の特徴は「他罰的」、つまり自分のせいでこうなった、のではなく、何でも他者が悪いと考えるのだそうです。
幸せに生きるために必要なことの一つは、「人間というものを知る」ということにあるのかもしれません。人には色々な性格を持った人がいる、その人とどのように仲良くし協力していけばよいのか、それを学ぶのが、皆さんが過ごしている今なのです。
この一年間で、皆さんはどれくらいの人と関わってきましたか?どれくらいの人とぶつかって自分との違いを知ることができたでしょうか。
人との違いを、許せないもの、避けたいものとしないで、楽しいもの、自分に新しい可能性を与えてくれるものと受け止められるとき、私たちはまた一回り成長するのです。
今年度の終わりに当たって、私の成長に関わってくれたすべての人に感謝しながら、新しい年度に希望を抱きたいと思います。