朝の心
共に感じる
- 2016.04.27
- 朝の心
先日、あるテレビ番組で一人の人の人生に釘付けになりました。ALSを患う一人の広告プランナー・ヒロさん。仕事でもプライベートでも非常に充実していた20代最後、30歳を前に、ヒロさんをALSという病気が襲います。「筋萎縮性側索硬化症」、これがALSの日本語の名前です。この病気にかかると体中の筋肉が段々と力を失い、動かせなくなり、呼吸もできなくなり、最後には死に至るという難病です。治療法はありません。ヒロさんも手足は全く動かず、わずかに動かせるのは口と目だけ。人工呼吸器をつけて生活しています。仕事は会社で口の動きを呼んでくれる仲間に助けられながら、バリバリとこなしています。
それでも、ALSの宣告を医師から受けた当初は相当ショックで、生きた心地もしなかったそうです。まだ多少動けたある時、ヒロさんは仲間と一緒に食事に行きました。話していると、ヒロさんがふと「外に行きたい」と言い、一人の仲間が彼の車いすを押して、店の外に出ました。するとそれまで笑顔で話をしていたヒロさんの目から涙がポロポロ落ち、声を上げて泣き始めました。あまりの自分の情けなさに、どうしようもない感情が襲ってきたのです。そのとき、車いすを押してきてくれた友人は、傍らに立ってずっと彼と同じ方向を見つめていたといいます。ヒロさんにとって、それが一番の慰めになったと言っていました。
聖書の中に、こんな一節があります。「喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。互いに思いを一つにし、高ぶらず、身分の低い人々と交わりなさい。」ヒロさんにとって、この友人はまさに自分と一緒に泣く人になってくれたのでした。この「共感」がヒロさんを救ったのでした。
新年度になってもう最初の月が終わろうとしています。みなさんはどのような新しい関係を築けたでしょうか。皆さんがこの一年で築く人間関係が、すべからくこのような心の通ったものであることを祈ってやみません。
折しも、お隣の県では震災で不自由を強いられている方々、傷ついた方々がいらっしゃいます。私たちは彼らの心に寄り添える「共に感じる」心を持ちたいですね。