朝の心
二つのものを一つにして隔ての壁を倒した
- 2016.05.19
- 朝の心
私たちの周りには、他と区別する仕切りや線がたくさんあります。例えば市内と市外とを分ける地理的な境界線、ルール内とルール違反とを定める法的な垣根、個人的なものと公のものとを区別する社会的な壁など、様々な場面であらゆる所に区切りや線が存在することに気が付きます。言い換えれば、そういった線引きがはっきりしているからこそ、私たちは秩序ある社会生活を送ることができるのです。
しかし、この区切りをあまりにもはっきりと強く主張しすぎるとトラブルの原因になることがあります。たとえば人は、昔から自国の領土を主張しすぎたことから多くの争いを起こしてきました。また一方で、上下関係や貧富差別をも作りあげてきました。
現代に生きる私たち自身も、人の好き嫌いからはじまって、仲間とそうでない人、良い人と悪い人といった線引きを、無意識のうちにしていることがあるのではないでしょうか。
聖書には次のような言葉があります。
「キリストは私たちの平和です。二つのものを一つにし、ご自分の肉において敵意という隔ての壁を倒した」(エフェソ2・14)。
キリストが一つになるためにとった手段として、「ご自分の肉において」と書かれています。それは十字架につけられるまでのことを意味しています。つまり、裏切られ、痛めつけられ、侮辱され、ついには十字架に付けられても人々をゆるし続けたばかりでなく、その後、復活して人々に祝福と平安を与えたのです。
私たちにはそれぞれに財産があり、主義主張があります。一人ひとりが自分というものをしっかり持ち続けることはとても大切です。そのうえで、引いてしまっている線を少し緩め、心の垣根を低くすると、周りを寛容に受け入れたり我慢したりできるようになるかもしれません。そしてそうすることによって自分自身がもっと豊かになり、生き生きと過ごせるようになるのかもしれません。
写真は華道同好会
2−C 金丸侑樹さんの作品