MORNING TALK
朝の心
ヒッチコック監督の話
- 2016.06.03
- 朝の心
アルフレッド・ヒッチコックという映画監督を知っていますか?今から30数年前に亡くなりましたので、皆さんの世代にとっては「名前は聞いたことがある」というぐらいの人物かもしれませんね。
ある日鳥たちが突然人間を襲いはじめる「ザ・バード」や、泊まった人間が次々と殺されてしまうモーテルを描いた「サイコ」など、ハラハラドキドキさせる演出が話題となり、「サスペンスの神様」と呼ばれた名監督です。そんな名監督だったにもかかわらず、ヒッチコックは「アカデミー監督賞」を一度も受賞することができませんでした。そこでアメリカ映画協会は、功労賞を贈ることにしました。彼が80歳の時でした。
その授賞式で彼は、次のようなスピーチをしました。
「この私に大いなる愛情と高い評価を与え、常に励ましと惜しみない協力をしてくれた4人の人物をここで紹介させてください。
一人目は私の映画の編集者。
二人目は私の映画の脚本家。
三人目は私の娘パトリシアの母親。
そして四人目は、我が家のキッチンで長年に渡って奇跡的な仕事ぶりをみせくれた名コックです」。
実はこの4人というのは同一人物でした。それはヒッチコックの奥さんのことでした。彼は自分を支えてくれた人、つまり最愛の妻に、人生の最後の晴れの舞台で最大級の感謝の想いを伝えたのです。その受賞式の翌年、彼は亡くなりました(『心が「ほっ」とする50の物語』参照)。
皆さんは今、最高の感謝の気持ちを誰に伝えたいと思いますか。これまでの自分、今の自分を支え、励ましてくれた人のことを思い返してみましょう。本当に感謝しなければならない人はあまりにも身近に当たり前のようにいて、忘れがちになっているかもしれませんね。
写真は華道同好会
2−1 押川凛さんの作品