朝の心
元に戻す
- 2017.06.14
- 朝の心
皆さんも御存知のように、宗教や人間学の授業では時々、司牧教室を使います。もちろん移動教室なので、授業が終わるとみんな自分のクラスに戻って、次の授業の準備をしなければなりません。そんな忙しい中、先日ある生徒が「先生、黒板を消しましょうか?」と申し出てくれました。別に日直でもなく、私が依頼したわけではありませんでした。でもとても嬉しく感じました。また別の日には、グループ活動で使ってばらばらに置かれた机を、だれに言われたわけでもなく、全部きれいに並べなおしてくれる生徒もいました。日向学院の素晴らしさはこんな生徒がいることにもあるんだと強く思いました。
彼らがしてくれたのは、使った教室を「元に戻す」ということです。元あった状態にもどして、次に来る人が気持ちよく使えるようにするという「配慮」です。よくよく考えれば、教室の掃除であっても、きれいだった元の状態に戻して、次の日にみんなが気持ちよく授業が受けられるようにすることにほかなりません。机を離れるときに椅子を入れるのも、後でそこを通る人にじゃまにならないようにするためです。皆さんはその「元に戻す」というとても地味で単純なことを、だれに言われるでもなく、すっと実行に移せているでしょうか。
使い捨て文化、サービス文化がはびこり、自分が使ったものをそのまま放っておいたり、誰かに片付けさせることに、私たちが慣れっこになりつつあるのを感じます。自分が小さいゴミを道に捨てても、きっと誰かが拾ってくれるさ。別に自分は不快な思いをするわけじゃないし・・・。そうやって、お互いに嫌なものを押し付けあって、ギスギスした社会になっていくのです。
でも、そんな社会だからこそ、「次にその場に来る人が喜んでくれるように」と、ちょっとした心遣いのできる人が、とても貴重で尊いのだと思います。
マザー・テレサは言います。「愛はまず手近なところから始まります。」
私の隣りにいる人、私の前後にいる人、そして私の後に来る人が喜ぶことができるように、「元に戻す」気遣いのできる人になりたいですね。