MORNING TALK
朝の心
Would never
- 2018.04.25
- 朝の心
「アレックスは、もう二度と、兄弟と一緒に通学ができない」
「スコットは、もう二度と、キャンプでキャメロンと冗談を言い合ってじゃれることはない」
「カーメンは、もう二度と、ピアノの練習をしたくないと愚痴ることはない」
これは、2月14日にアメリカ・フロリダ州の高校で起きた銃乱射事件を受けて、首都ワシントンで開かれた「私たちの命のための行進」で演説に立ったエマ・ゴンザレスさんがスピーチした一部分です。彼女は事件で亡くなった17人の友人について、このように一人ずつの思い出を語りました。演説の中では、"would never"つまり「もう二度と」という言葉を何度も繰り返していました。
新年度が始まって一か月がたとうとしています。この時期、皆さんに伝えたいことは一つです。それはいつも言っていることでもあります。「今という時間は今しかない」「今そばにいる人は今しかいない」「今起こっていることは今しかない」ということです。エマさんの言葉を借りれば、今というこの時は"もう二度と"やって来ません。
やがて散る桜の愛おしさも、震災で気付かされたただ「有る」ことのありがたさも、「無い」という状態を知っているからこそ、ありがたく感じられるものです。私たちは「ただ生きているだけ」の人生に、つい不満や不足を感じ、否定的に捉えてしまうことがあります。しかしながら「ただ生きているだけ」というのは何かの欠如ではなく、それこそが一つの奇跡的ともいえる達成、完成なのです(「折々のことば」1062参照)。出来事の一つひとつを、関わっている一人ひとりを、その時、その場でどれだけ大切に思い、関わることができるか。それこそが、より豊かな毎日、そして人生へと繋がるのではないでしょうか。