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MORNING TALK

朝の心

空飛ぶペンギン

2018.05.17
朝の心

「ある日、散歩の途中、わたしは1羽のペンギンにひょっこり出くわした。

空から落っこちたんだよ、とやつは言った。」

という書き出しで始まる一つの絵本を今日は紹介します。
その名も『空の飛びかた』。(ゼバスティアン・メッシェンモーザー作、光村教育図書、2009)

皆さんは、空飛ぶペンギンを見たことがありますか。水中をまるで空を飛ぶかのように自由に泳ぎ回るペンギンの姿は、水族館やテレビの映像でよく見かけます。しかし、目の前でぶぜんとした格好で、「おれは空を飛んで来たんだ!」と声高に主張するペンギンの話を、皆さんは信じることができるでしょうか。

主人公の前で、そのペンギンは「『1羽の鳥になりきってやれば、きっと飛べる』と思い込み、そして実際に飛んでいる最中に一群の鳥に出会った。すると『やっぱり自分は飛ぶようにはできていない』という疑いが出てきて地に落ちたんだ」と言うのです。

そんな「やつ」と呼ぶペンギンを見つけた主人公も初めは半信半疑でした。でも飛びたいという「やつ」の努力を、あの手この手で助けようとします。一緒に体操をしたり、翼を設計したり、ロケット花火を付けて飛ばそうとしたり、凧に着けて飛ばそうとしますが、どれも失敗。

しかし、ある日、新しい実験にとりかかろうとしたとき、空からペンギンの群れが頭上を飛ぶ声が聞こえてきたのです。すると「やつ」は翼を広げ、えいっとジャンプすると、ふわりと空に舞い上がって、群れのあとを追っていったのでした。

さて、皆さんはこの話についてどう思いますか?わたしは「仲間のもたらす力」というものを考えました。自分一人ではどんなに頑張っても出来ないことがある。でも、同じ志をもった仲間と一緒だとなぜかできてしまう。そんな経験、ないでしょうか。

先日、ゴールデンウィークの最後、海の家で行われた高校生の自習会に少しだけお邪魔しました。丸々2日間、缶詰めになって自習をし続けるなんて、自分一人ではなかなかできないことです。でもたとえ言葉は交わさなくても、みんなが同じ意志を持って行うからこそ、大変だけれどもみんな「できる」と思えて、そしてやり遂げたのだと言えます。

いよいよ定期試験が迫っています。自分の力を信じることはもちろんですが、みんなで同じ意志を持って励まし合いながら、不可能と思われることも可能にしていきませんか。きっと空を飛ぶペンギンのような、思いもよらない結果が私たちを待っていることでしょう。

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