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MORNING TALK

朝の心

「人」と「言」で「にんげん」

2018.05.23
朝の心

水族館に行った時の楽しみと言えば、イルカやアシカなどのショーを見ることだという人は多いのではないでしょうか。天井から釣り下ろされている輪をイルカが高くジャンプしてくぐったり、投げられたボールをアシカが鼻でキャッチしたりなど、さまざまなパフォーマンスが繰り広げられ、見応えがあります。

 では、あのようなパフォーマンスはいったいどうやって教えているのでしょうか。始めは簡単なことから教えていくとか、動物たちの元々の動きを応用するなど、いろいろな訓練方法があるようです。また、成功した時にトレーナーが餌を与えている姿から「上手にできれば餌がもらえる」関係であることが分かります。しかし何よりも基本となるのは、トレーナーとの信頼関係です。トレーナーは常に近くにいて動物たちの体を洗ったり健康をチェックしたり、いっしょに遊んだりしながら親身になって世話をします。やがて動物から少しずつ認められるようになり、動物がトレーナーに興味をもつようになって初めて、訓練を受け入れることができるようになるのです。

 

私たち人間も、最終的に深く関わりあえるのは信頼関係によるものです。教師と生徒、先輩と後輩、同級生同士、親子関係などは特に、信頼しあうことが重要となってきます。教える側と教えられる側、強い立場と弱い立場、あるいは利害関係を越えた信頼に基づく関係があってこそ、共にいることに喜びを感じ、感動し、時に喧嘩をしても仲直りができ、別れに寂しさを感じるのです。言い換えれば、「信頼」とは人との関わりにおいて、いのちをより豊かに生きるための生命線であると思います。

 信頼する「信」という漢字は、人偏である「人」と、言語の「言」という漢字の組み合せで成り立っています。この「人」と「言」は、音読みで合わせると「にんげん」と呼ぶこともできます。信頼し、信頼される関係こそが、人間と人間が関わりあう基礎であり、かつ最も尊い関係なのです。

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