朝の心
『弱いロボット』が語るもの
- 2018.10.09
- 朝の心
先日、朝日新聞の天声人語に面白い記事を見つけました。「どぎまぎして街頭でティッシュがうまく配れない。浦島太郎を語りながら肝心の『竜宮城』の名をど忘れする。」そんなちょっと抜けてるロボットを作っている人が、愛知県にある豊橋技術科学大学の岡田美智男教授です。AIなどを駆使して、人間の力を超える能力を持つロボット開発がしのぎを削る現代にあって、ロボットと人間の共生を考えたときには違うアプローチが求められていると考えた教授は、いわゆる「弱いロボット」たちをすでに30種類作り出しました。
教授が作ったロボットの中で私が傑作だと思ったのは「ゴミ箱ロボット」。自分でゴミを探し出しその近くまで行くことはできるけど、それを拾う腕はなく、その周辺を声を出してウロウロするばかり。それを見かねた子供がゴミを拾って入れてあげると、ちょこんとお辞儀をする。できないこと、弱いことを全面に出すことで、人間の情に訴え、助けてもらうことで関わりを作る。弱さが繋がりを作り、助け合いながら全体としてたくましく今を生きていくことを目指しているのでしょう。
聖書の中で使徒パウロが次のような言葉を残しています。「キリストの力が私の内に宿るように、むしろ大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう。(中略)なぜなら、わたしは弱いときにこそ強いからです。」(Ⅱコリント12・9-10)
私たちは弱いことやできないこと、間違えたりすることを恥ずかしく思って隠しがちです。周りに迷惑をかけてしまうと思ってしまうからでしょうか。しかし、その弱さが実は人間としての魅力を作る要素のひとつなのだと私は思います。欠けている自分、頼りない自分を見て思わず手を貸そうとする人がいて、それを笑顔で受け入れ感謝を示す。私たち人間はそうやって繋がりを作りながら、力強く生きていくように神様から作られているのではないでしょうか。
「弱いロボット」たちがこれからどのような活躍を見せてくれるのか、とても楽しみですね。
<参考ホームページ>
朝日新聞天声人語(2018.9.25)「弱いロボット」
https://digital.asahi.com/articles/DA3S13694518.html?iref=tenseijingo_backnumber
岡田美智男先生のホームページ(ICD-lab)
https://www.icd.cs.tut.ac.jp/