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MORNING TALK

朝の心

花は合掌に開けて、春に因らず

2019.03.04
朝の心

 「花は合掌に(ひら)けて、春に因らず」とは、学問の神様と言われている菅原道真の詩です。「花は春が来たから咲くのではない、合掌によって花が開くのだ」という意味です。ここでいう花とは、植物の花ではなく心の花をさすそうです。つまり、すべてのものにはそのものをそのものであらしめる根元の心があり、その心を開かせるのが合掌だということです(『心の杖のことば365日』参照)。

 たとえば、来週から修学旅行に行く中学2年生は、奈良や京都でたくさんの仏像を見てくることでしょう。それらの仏像は古いから価値があるのではなく、歴史や作者の如何にかかわらず、長い間 多くの人から合掌され、拝まれてきたから尊いのです。仏像も仏画も人間から拝まれて、あのように尊く優しいお姿となったにちがいありません。仏像そのものがもつ本来のものを、人々の合掌によって咲かせているということです。

 

「わたしたちは目を向けていても見ていないのです。心の目を開いて、しっかりと見ましょう」というマザー・テレサの言葉があります。私たちはついつい関心のあることしか見ようとしません。興味あることにしか耳を傾けません。そのためほとんどのことに対して、表面的な見方や部分的な聞き方になってしまいます。偏見と思い込みで判断してしまうことも少なくありません。「心の目を開いて、しっかり見る」とは、創られたすべてのもの、すべての出来事の中に、神の愛が宿っているしるしを見いだすことであると言ってもよいでしょう。

 とりわけ人との関わり方においては相手の姿形や肩書で優劣を判断することなく、「心の目」を開いて見ることが大切です。一人ひとりが持っている花、すなわち互いの尊い心に合掌し、花を相互に咲かせ合う関係を心がけていきたいものです。

写真:日向学院のチャペルの十字架kokoro16.jpg

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