朝の心
心の目を育てる
- 2019.06.17
- 朝の心
おはようございます。
誰に何と言われようと、山梨県から見る富士山は「裏富士」ではないと言って譲らない中田です。
さて、富士山は世界的に見ても「美しい山」と評価が高い山であることは、皆さんも疑わないと思います。あの左右対称で曲線を描きながらそそり立つさまは、世界でも類を見ないものです。
でも、ちょっと考えてみましょう。富士山を「美しい」と感じるのは、自分でそう思うからなのでしょうか、それとも、みんなが「美しい」と言っているからそう思うのでしょうか。
世界的な抽象画家で書道家の篠田桃紅さんは、「頼らずに、自分の目で見る」ことを強調しています。彼女の作品は白い紙の上に墨で太かったり細かったり濃かったり薄かったりする線がシャッと描かれているだけだったりします。それを見た人から、「これはなにを表している絵なのですか」とよく聞かれたそうです。それに対して彼女は「絵というものは、自分のなかに湧いてくる思いを、目に見えるようにしたものなので、見る人によって、どのように受け止められてもいいものだ」と言っています。
人は、説明を頼りに何かを見ていると、永遠に説明を頼りに見るようになってしまう。そして、それが自分の感じる心の幅を狭めてしまうことになるのだそうです。
世の中にはいろいろなおすすめを教えてくれたり、モノや食べ物屋さんの評価を教えてくれる本やサイトがたくさんあります。たしかに参考になります。しかし、そればかりを頼りにするのではなく、自分の目で見て、考えることを放棄してはいけないのでしょう。
自分の中に「これは美しいものだ」「これは善いものだ」「これは正しいものだ」と判断できる心の目を育てるために、どうしたらいいか。私はやはり、本物に触れることではないかと思います。本を読む、美術館や博物館に行く、演劇やコンサートを聞く、ハイキングをするでもいいでしょう。自分の小さな世界から一歩踏み出して、様々な生の体験を大切にしていきましょう。
「どうか、わたしたちの主イエス・キリストの神、栄光の源である御父が、あなたがたに知恵と啓示との霊を与え・・・、心の目を開いてくださるように。」(エフェソの教会への手紙より)
参考:『103歳になって分かったこと』(篠田桃紅、幻冬舎文庫)