MORNING TALK
朝の心
虫の声
- 2019.10.28
- 朝の心
皆さんは、秋の夜に鳴く虫の声に耳を傾けたことがあるでしょうか。虫の声を聞いて、秋になったことを実感する人もいると思います。かすかだけれども澄んだ調べが耳と心に快く響いてきて、せわしい日々の中でのしばしの憩い、しばしの安らぎを感じることができます。
秋の夜の虫の声は私たちにとって決して耳障りになることはありません。これが空調など、機械のモーターの音であったり、車のエンジンの音であったりすると、例えそれが小さい音であっても、私たちの耳には騒音として聞こえてきます。これはどうしてなのでしょうか。
自然の営みというのは、無心でたしかなものです。人が気付くかどうか、人が聞いているかどうか、人が注目しているかどうかにかかわりなく、時がくれば、虫は静かに鳴き続け、時がくれば鳴き声はしなくなるのです。そして、それに気付いたとき初めて人は心を洗われる思いがするのです。そして、自然の恵みのありがたさを感じるのです。
しかし、私たち人間はなかなかそういうわけにはいきません。他人が気付いているかどうか、気付いても、どう受け止めるかということがとても気になるものです。人が見ていようが、見ていまいが自然な気持ちで行動できたらすばらしいと思います。自分を良く見せよう、良く思われようという意識が強いと、その人の言葉や行動は、雑音が耳にさわるように、他者にとってはわずらわしいものとなってしまうのではないでしょうか。
いつでもどこでも自然で素直な心で行動したいものです。そして自分のことよりも、むしろ人のことを心にかけられるような繊細な心をもちたいものです。