朝の心
ドン・ボスコと理髪店の少年
- 2020.02.07
- 朝の心
今朝は先週お祝いしたドン・ボスコの話をひとつ。
ドン・ボスコが始めたオラトリオという活動には当初、週末や休みの日に週日働いている青少年たちが多く集まっていました。ドン・ボスコはオラトリオに来た若者たちに祈りや遊び、勉強、食事などの場を提供していましたが、それだけでなく、オラトリオがないときも街を歩きながら彼らに会いに行くのでした。そして、不正な扱いを受けているなど、何かを発見すると、雇い主を呼んで交渉することもありました。
ドン・ボスコが散髪のためにある理髪店を訪れた時のことです。カルロ・ガスティーニという少年がそこで働いていて、ひげ剃りのために石鹸をつけに来ました。あごに石鹸をつけ終わるとドン・ボスコはカルロに言いました。「よし、じゃあカミソリをとって私のひげを剃ってくれるかな?」店の主人があわててやってきます。「神父さん、困ります!この子は石鹸付けしかできないんですから。」ドン・ボスコは言い返します。「でも、始めないことにはいつまでたってもできないままでしょう?それなら私から始めるのがいい。さあカルロがんばれ。」そしてカルロにすべてを任せたのです。また終わった後は、肌を傷つけてしまった失敗には全く触れず、やりきったカルロをほめたのでした。(テレジオ・ボスコ著『完訳ドン・ボスコ伝』ドンボスコ社、218頁より)
皆さんは、たくさんの宿題、難しそうな問題、強い相手との試合など、やる前から「あー無理」とあきらめた経験はありませんか?また与えられたこと、最低限のことをして満足していませんか?そこにとどまらず、自ら進んで課題を見つけていくこと、時には未知の世界へチャレンジするよう、ドン・ボスコは今も皆さんを招いています。
この出来事でドン・ボスコに心をつかまれた少年カルロ・ガスティーは、その後、生涯にわたってドン・ボスコの活動を助けていくことになるのですが、それはまた別の話。