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MORNING TALK

朝の心

自分にとって本当に大切な人、最も感謝しなければならない人は

2020.02.14
朝の心

今年は東京オリンピックが開催される年です。そこで今日は、1998年におこなわれた長野オリンピックにまつわるあるエピソードを紹介します(『夜、寝る前に読むと「ほっ」とする50の物語』参照)。

 長野では、オリンピックが始まると地元のタクシーはたちまち予約でいっぱいになり、どのタクシー会社も貸し切り状態になりました。そんな中で、「貸し切りお断り」を貫いたタクシー会社がありました。「中央タクシー株式会社」です。「オリンピック期間中、いつもうちのタクシーで病院に通っているあのおばあちゃんはどうするんだろう?」という、一人の社員の言葉がきっかけでした。「いつも我が社のタクシーを使ってくれている地元住民の足を守らなくてもいいのか」と社員たちの間に議論がおこり、ついに会社はオリンピック期間中でも貸し切りを断って、通常営業を続ける決意をしました。結果はどうなったでしょう。他のタクシー会社は、オリンピック期間中は通常の3倍の儲けがあった一方で、「貸し切りお断り」を貫いた中央タクシーだけはいつもと同じ売り上げでした。やがてオリンピックが終わると、他の会社はどんどん潰れていきました。地元の人びとの足を守り抜いた中央タクシーだけが、オリンピック後も通常どおりに営業できたばかりか、オリンピック前までは他社のタクシーを使っていたお客さんたちが、中央タクシーに乗ってくれるようになったのです。

 明後日(明日)は高校の卒業式です。来月には中学の卒業式があります。そうしてひと月あまりで学年が終わり、新しいクラスへと変わる、別れの季節がやってきます。そんな時期にこの中央タクシーのエピソードは、「自分にとって本当に大切な人は誰か」「最も感謝しなければならない相手は誰なのか」を考えさせてくれます。本当に大切な人、あるいは感謝すべき相手というのは、実は身近すぎる相手ゆえに、その存在に気付きにくいのかもしれません。いることが当たり前になっているあまり、そのかけがえのなさに気付けずにいるのかもしれません。

最後にマザー・テレサの言葉を紹介します。「私たちはたまに会う人に微笑みかけるのは易しいのです。でも毎日会っている人に微笑むのは難しいです」。

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