朝の心
「せいきゅうしょ」
- 2020.06.02
- 朝の心
今年のテーマ、学院のモットーは、「アモレヴォレッツァ」(慈愛、愛情深い優しさ)です。
本当の愛は、貧しい人と豊かな人、背の高い人と小さな人、喜ぶ人と悲しむ人を分け隔てしません。愛はお金に換算できないからです。
あるお母さんと子どもの話を、皆さんとわかち合わせてください。
一人の小さな男の子が、ある夜、台所で夕ご飯の用意をしていたお母さんのところにやってきて、何かを書いた紙をお母さんに渡しました。お母さんはエプロンで手を拭いてから、それを読みました。紙にはこう書かれていました。
「しばかり=100えん
こんしゅうのじぶんのへやのそうじ=100えん
おかあさんのおつかいで買い物=200えん
おかあさんが買い物にいっているあいだ、ちいさいおとうとのせわ=500えん
ごみだし=200えん
よいせいせきひょうをもらう=200えん
まいにちがっこうにいく=200えん
ごうけいのせいきゅうがく=1500えん」
さて、お母さんはそこに立っている男の子を見つめました。そしてペンを取り、男の子が書いた紙を裏に返し、このように書きました。
「あなたがおかあさんのおなかのなかでせいちょうしているあいだ、
おかあさんはきゅうかげつかん、あなたをはこびました=ただ(むりょう)
いくどとなく、よるじゅうあなたをかんびょうし、あなたのためにいのったこと=ただ
これまでのとしつき、いくどとなく、あなたのことでなやみ、なみだをながしたこと=ただ
しょうらいのことをしんぱいし、ふあんなよるをいくどとなくすごしたこと=ただ
おもちゃやたべもの、ようふく、あなたのはなをふいたこと=ただ
ごうけいすると、わたしのあいは=ただ、むりょう」
男の子は、お母さんが書いたことを読み終わると、目に涙をいっぱいに浮かべ、お母さんをまっすぐに見て言いました。「おかあさん、だいすき。」 それからペンを取り、大きな字で書きました。
「しはらいずみ(せいきゅうなし)」
愛は、「慈しみの子となるように」という呼びかけです。愛する人の幸せのために、自分の幸せを犠牲にすることは、最も真実な愛です。友達や先生、親や自分自身に対して、慈しみの子でありましょう。それは、私たち人間の愛の特徴を表すのです。