朝の心
支え
- 2020.06.24
- 朝の心
今日は「支え」についての一つのお話をしましょう。
庭に一本の幹の細い小さな木がありました。庭師はその木にがっしりとしたトネリコの木の柱を結び付け、小さな木がまっすぐに伸びるように支えとしました。
ある時、風がダンスに誘うと、若い木は青々と生い茂った葉っぱを震わせて、揺れながら叫ぶのでした。「お願いだ、放しておくれよ。何でこんなに僕をつかんでるの?ほら、他の木々を見てごらんよ。みんな楽しそうに風に揺られてるじゃないか。何で僕だけこんなに厳しくされなきゃいけないの?」
「君はぽっきり折れちまうよ。」その柱は頑固に繰り返しました。「それとも、不格好な木になりたいのかい?よぼよぼになりたいのかい?」
「あんたはただ年を取って、若い僕がうらやましいだけなんだ。放せってば!」
若い木は全身の力を振り絞って身をよじらせましたが、年老いた柱は頑として聞かず、今までにないほどにがっちりとつかんで放しませんでした。
ある夏の夜、雷が空に鳴り響き、雹が地面を打ちつけると、じきに大嵐がそのあたりを襲いました。大風のはげしく動く腕に振り回され、その若い木は全ての関節がきしみ、枝葉が地面をひっかくようでした。
「もう、だめだ。」若い木は思いました。
「頑張れ、坊主!」しかし、年寄りの柱は叫び、老いた体にまだ残っている力を集めて、嵐に立ち向かいました。それは厳しく、長い戦いでした。しかし、ついに若い木は救われたのでした。一方、年老いた柱は死に、無残にも根っこから真っ二つにされていました。
若い木はそれを知って、泣き始めました。「僕を一人にしないで!まだあなたが必要なんだ!」しかし、答えは返ってきませんでした。よく見ると柱の破片が若い木の幹にまだ紐でくっついていました。まるで老木の最後の抱擁のようでした。
今日、そこを通る人々は、すっかり強くがっしりとなった若い木が、風のある日には渇いた小さな木のかけらをまるでやさしく揺らしているように見える様を、驚きとともに見上げるのでした。
皆さんは、まっすぐに成長できるようにと、時に厳しく、また時に力強くいろんなサポートを受けています。すぐにはその支えの偉大さが分からなくとも、成長した時にそのありがたさを思い出せるような人間になっていってくださいね。
(参考:"Il Bolletino Salesiano"(Giugno 2020), La Buona Notteより訳出)