朝の心
いい言葉を掛けあおう
- 2020.06.26
- 朝の心
NHKでは現在、作曲家古関裕而がモデルとなっている古山裕一を主人公にした朝ドラ「エール」が放映されています。幼少の頃の裕一は、勉強も運動も苦手なうえに言葉が上手にしゃべれず、周りからよくいじめられていました。そんなある日、父親が買ってきた蓄音機から流れてくる音楽に夢中になり、音楽の感性が少しずつ磨かれていきます。裕一の音楽的才能に気付いた一人の先生は、「人よりほんの少し努力するのが辛くなくて、ほんの少し簡単にできること、それがお前の得意なものだ。それが見つかれば、しがみつけ。必ず道は開く」という言葉を掛けます。これを励みに裕一は音楽の才能をどんどん伸ばしていき、いつの間にかクラスの中でも輝く存在となりました。そしてついに、作曲家への道を歩みはじめるのです。
三つのオリンピックに出場し、短距離種目で日本人初のメダルを獲った元陸上選手の為末大さんは、小学校の先生からいつも「もう少し落ち着きましょう」、「人の話をしっかり聞きましょう」と言われていました。小さい頃から走ることが好きだったので地域の陸上クラブに入りましたが、コーチの説明が終わる前に勝手に走りだしたり、跳んだりしてしまいます。リレーの時も、バトンが渡される前から走り出してしまうほどだったそうです。初日の練習が終わると彼は、付き添いで来ていた母親と共にコーチに呼ばれ、こう言われました。「この子の好奇心はすごいですね」と。この言葉は為末さんが自信を持つきっかけとなる大きな出来事でした。「自分が『直さなきゃ』と思っていた特徴が、『生かさなきゃ』に変わった瞬間でした」と振り返っています。そして、「人生は、誰か一人が才能を認めてくれれば大きく変わるということがある。自分の好きなこと、得意なことを見つけて楽しむこと。反対に人の"良いところ"があればできるだけ口にしてあげるようにする」と、為末さんは語っています(『日本講演新聞』参照)。
今日皆さんが口にする、誰かを褒める言葉、励ます言葉が、相手の人生を大きく変えるかもしれません。もちろん逆も、あります。
良い言葉を互いに掛けあい、共に成長していきたいものです。