朝の心
「あの体験があったから」
- 2020.07.04
- 朝の心
皆さん、おはようございます。いい時間帯ですね。皆さんはお父さんやお母さんの仕事を手伝ったことはありますか?私の実家は農家で稲や野菜、モモやイチジクをつくっているのですが、夏休みになると父親からよく桃の作業の手伝いを頼まれました。
夏の暑い日に外で働くのは大変です。一番嫌いだったのは、風などで木から落ちてしまった桃を手でひろい集める仕事です。落ちたばかりの桃はきれいですが、たいていの桃は落ちて痛んでいます。痛んだ桃のにおい、たかる虫たち、腐った桃を手でつかむあの感触はゴム手袋をつけていても気持ち悪く、今でも思い出すだけでゾッとします。正直何度か、習字の稽古がその日ないのに、あると嘘をついて逃げ出したこともあります。いつもはあまり行きたくない部活もその時期は喜んで行ったりしていました。
ある日、モモ拾いに気が進まない態度をみせていると、父から「誰かが拾わんと作業できんごとなるやろが!」と叱られました。当時は、「じゃあ自分で拾えよ」と心の中で思っていましたが、まぁ子どもができることを考えると、妥当な役割分担であったでしょうし、家族にとってはすごく役に立っていたのかなとも今では思います。
当時は本当に嫌で嫌で仕方がありませんでしたが、今ではあの体験があったから学んだこと、強くなったこともあると思いっています。おかげで臭いや汚さに耐性が付き、ごみの片づけやトイレ掃除が人よりも苦にならなくなったと感じています。
現在、私たちの身の回りでは、少しずつ緩和されてきてはいますが、感染予防のため、したいことも我慢しなければならない、つらい状態が続いています。でも、工夫しながら、できることをやっていきましょう。将来何が役に立つのかわかりません。この非日常的な毎日が、いつかお互いに「あの体験があったから」と言い合えるような日々になることを祈っています。